【リング禍で28歳急死】神足茂利選手の悲劇とJBCが動き出した安全対策の真実
とりコレ3行まとめ
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東洋太平洋スーパーフェザー級王座に挑戦した神足茂利選手(28)が試合後に意識を失い死去
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急性硬膜下血腫による開頭手術も意識戻らず、日本ボクシング界に再び悲劇
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JBCは安全対策の見直しを検討中、競技の在り方が問われている
「リングで輝いた男」が帰らなかった夜
2025年8月2日、後楽園ホール。東洋太平洋スーパーフェザー級王者への挑戦に燃えていた神足茂利選手(28)は、フルラウンド戦い抜き、判定ドローという結果で試合を終えました。
しかし、そのわずか数分後、控室で容態が急変。医務室で意識を失い、救急搬送。脳に血がたまる「急性硬膜下血腫」と診断され、緊急開頭手術が行われました。
必死の治療もむなしく、8月8日午後10時59分、都内病院で息を引き取りました。わずか28歳。夢のタイトル戦が、最期のリングとなってしまいました。
神足茂利選手の経歴と実績
神足選手は、日本大学ボクシング部出身。アマチュア時代には50勝23敗という戦績を誇り、学生時代から注目される存在でした。
2019年10月にプロデビューし、初戦は2回TKO勝ち。その後も着実にキャリアを積み重ね、通算戦績は8勝(5KO)2敗2分。今回が初のタイトル挑戦でした。
明るく人懐っこい性格と、真っ向勝負のファイトスタイルでファンから愛され、ジム関係者からも「努力の人」と評されていました。
リング禍の現実と繰り返される悲劇
ボクシングは身体をぶつけ合う過酷な競技であり、常に危険と隣り合わせです。特に頭部へのダメージは、蓄積すると命に関わる深刻な事態を引き起こします。
2025年は、神足選手だけではありません。今年5月には元世界王者の重岡銀次朗選手が試合後に急性硬膜下血腫を発症し、一命は取り留めたものの長期療養に入りました。同じ興行で出場した浦川大将選手も同様に救急搬送され、リング禍の危険性が改めて浮き彫りになっています。
こうした事態は、偶然ではなく競技の構造的なリスクとして受け止めなければなりません。
急性硬膜下血腫とは?
急性硬膜下血腫は、頭部に強い衝撃を受けた際に、脳と頭蓋骨の間に出血が起き、脳を圧迫する状態です。
症状は時間をかけて進行することもあり、「試合後に元気だったのに急に倒れた」というケースも少なくありません。発見と手術が遅れると死亡率が高く、選手生命だけでなく命そのものを奪う恐ろしい外傷です。
JBCの対応と安全対策の課題
日本ボクシングコミッション(JBC)は、今回の件を受けて安全対策の見直しを検討しています。具体的には以下のような案が議論されています。
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ラウンド数の短縮
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試合間隔の延長
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試合前後の医療チェック強化
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減量プロセスの見直し
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脳MRI・CTスキャンの定期義務化
海外ではすでに、計量日の前倒しや厳格なドクターストップ制度が導入されており、日本も安全面で国際基準に近づける必要があります。
ファンと業界ができること
悲劇を繰り返さないためには、運営側の制度改革はもちろん、ファンやメディアの意識も変わる必要があります。
「根性」「我慢」を美化する文化が残る中で、無理な試合続行や過度な減量を止める声がもっと必要です。
選手が安全に、そして長く活躍できる環境を作ることが、最終的に競技の魅力を守ることにもつながります。
まとめ
神足茂利選手の死は、日本ボクシング界に大きな衝撃を与えました。彼が残した闘志と努力の軌跡を忘れず、同じ悲劇を二度と起こさないための行動が求められています。
安全対策の強化と意識改革が、今この瞬間から始まらなければなりません。
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