【高速バス相席ブロック】直前キャンセルは犯罪?弁護士が指摘する5つのリスク
とりコレ3行まとめ
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高速バスで「隣席も予約→直前キャンセル」する“相席ブロック”が問題に
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手口次第で業務妨害罪・詐欺罪・電子計算機損壊等業務妨害罪などの犯罪に発展する可能性あり
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バス会社も注意喚起、やめなければ「刑事責任」や「損害賠償」リスクも
なぜ今“相席ブロック”が炎上しているのか?
「せっかくの移動で知らない人と相席はイヤ…」
そんな心理を逆手に取った“裏ワザ”として広がったのが、高速バスの相席ブロック。
やり方はシンプルで、隣り合う2席を自分で予約し、出発直前に1席をキャンセルするというもの。結果的に隣は空席になり、他の乗客が買えなくなる仕組みです。
SNSやニュースサイトでは「迷惑行為」「犯罪では?」と炎上。実際に弁護士も「業務妨害罪に当たる可能性がある」と指摘し、法的リスクが現実味を帯びています。
相席ブロックとは?
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手口:同じ人物が隣席の2座席を予約→発車直前に片方キャンセル
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影響:他客が本来買えるはずの席を奪い、運行会社の販売・配席業務を妨害
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広がり:2024年ごろからSNSを中心に拡散、2025年には各社が公式に「やめて」と呼びかけ
つまり、個人の“ちょっとした工夫”ではなく、事業者に実害を与える行為として社会問題化しているのです。
犯罪になる可能性5選
1. 偽計業務妨害罪(刑法233条)
「だます・こっそり妨害する」類型の業務妨害です。
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利用意思がないのに予約→直前キャンセルを繰り返す
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他客への販売や事業者の業務を妨げる
これらは偽計業務妨害にあたる可能性があります。刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。飲食店での「予約荒らし」と同じ構図で、立件例もあります。
2. 軽犯罪法(1条31号)
「業務を妨害するイタズラ」も軽犯罪法違反に。
偽計業務妨害まではいかない軽度の妨害行為でも、拘留や科料の対象になります。常習的なキャンセル荒らしはここに該当するケースも。
3. 電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)
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予約システムに大量の架空予約を入れる
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ボットで不正にシステムを混乱させる
といった「技術的な妨害」ではこちら。刑罰は5年以下の懲役または100万円以下の罰金。ITを悪用した悪質なケースに適用されます。
4. 詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪
キャンセルを悪用してポイントやクーポンを不正取得する場合は「詐欺」にあたります。
例えば「予約するだけでポイント付与→キャンセルで利益だけ取る」といった手口。過去にはこうしたポイント荒稼ぎで逮捕事例もあり、罪は重くなります。
5. 威力業務妨害罪(刑法234条)
直接的な“力”や“脅し”を伴って業務を妨害するケース。通常の相席ブロック単体では該当しませんが、恫喝や嫌がらせと組み合わされれば成立します。
どこから犯罪?判断ポイント
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最初から「相席ブロック目的」で予約している
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常習的に直前キャンセルを繰り返す
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架空の名前や偽アカウントで予約している
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ボットで自動的に予約を入れている
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ポイントやクーポンを不正に得ている
これらに当てはまると、“マナー違反”ではなく犯罪に踏み込むリスクがあります。
読者向けの現実的な対策
「じゃあ隣を空けたいときはどうするの?」という疑問もありますよね。
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独立シート車両や2+1配列を選ぶ
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追加料金で隣席確保オプションがある便を利用する
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混雑時間を避けて予約する
これが一番安心で合法な方法です。無理に“裏ワザ”を使わなくても、正規ルートで快適な移動は可能です。
民事責任の可能性も
刑事だけではありません。
事業者が被った損害が具体的に立証できれば、民事での損害賠償請求(民法709条・不法行為)につながります。
飲食店の「ドタキャン裁判」と同じ構造で、賠償金を請求されるリスクも現実的です。
まとめ
相席ブロックは「ただの工夫」では済まされません。
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偽計業務妨害
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軽犯罪法違反
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電子計算機損壊等業務妨害
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詐欺罪
など、ケース次第で複数の犯罪に発展する可能性があります。
「隣に人が来ないようにしたい」気持ちは理解できますが、不正な方法で快適さを得るのはリスク大。
やるなら正規の制度を使うのがベストです。
参考・引用記事
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弁護士JPニュース「高速バス“相席”阻止のため、隣席も予約→直前キャンセル…」 https://www.ben54.jp/news/2618
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ライブドアニュース(弁護士JP転載)「高速バス“相席”阻止のため、隣席も予約→直前キャンセル…」 https://news.livedoor.com/article/detail/29488630/
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長岡第一法律事務所コラム「やめよう、『相席ブロック』」 https://www.n-daiichi-law.gr.jp/contents/information/12473
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ベリーベスト法律事務所「業務妨害罪(偽計・威力・電子計算機)」 https://kyoto.vbest.jp/columns/criminal/g_violence/5949/
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四ツ葉法律事務所「ドタキャンの法的責任(刑事)」 https://yotsubalegal.com/blog/cancel-without-permission01/
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アトム法律事務所「偽計業務妨害罪とは?」 https://keijibengo-line.com/post-11340/
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横浜ロード法律事務所「電子計算機損壊等業務妨害罪」 https://www.yokohama-roadlaw.com/glossary/cat/post_535.html
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ベリーベスト法律事務所(小田原)「ポイント不正取得は詐欺?」 https://odawara.vbest.jp/columns/criminal/g_property/6923/
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ベリーベスト法律事務所(浜松)「クーポンの不正取得は犯罪?」 https://hamamatsu.vbest.jp/columns/criminal/g_property/7038/
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交通新聞社(乗りものニュース)「迷惑!相席ブロック…」 https://trafficnews.jp/post/133507
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