【話題】インフルエンサーの医療PR炎上なぜ?過去事例と薬機法
- 1. とりコレ3行まとめ
- 2. 結論:医療PR炎上は「影響力」と「安全性」がぶつかる
- 3. インフルエンサー医療PRとは?
- 4. なぜ医療PRは炎上しやすいのか
- 5. 確認できる過去事例1:ゆいぴすさんのマンジャロ騒動
- 6. 確認できる過去事例2:海外GLP-1インフルエンサー炎上
- 7. 炎上しやすい論点1:美容医療の体験談とビフォーアフター
- 8. 炎上しやすい論点2:PR表記なしのステマ疑惑
- 9. 炎上しやすい論点3:健康食品やサプリの効果断定
- 10. 炎上しやすい論点4:オンライン診療とダイエット広告
- 11. 薬機法とは?医療PRでなぜ重要なのか
- 12. 医療PR炎上でよくある誤解
- 13. 医療PR炎上で共通するパターン
- 14. SNSではどんな声が出やすいのか
- 15. 今後も炎上が起きやすいジャンル
- 16. インフルエンサー側に求められること
- 17. 企業やクリニック側に求められること
- 18. 読者が医療PRを見るときの注意点
- 19. まとめ
- 20. 参考情報
とりコレ3行まとめ
・インフルエンサーの医療PR炎上は、薬・美容医療・ダイエット発信で起きやすい傾向があります。
・問題になりやすいのは「効果の断定」「広告表記の不足」「体験談の見せ方」です。
・ゆいぴすさんのマンジャロ騒動も、医療用医薬品をSNSでどう扱うかが問われた事例です。
インフルエンサーによる医療・美容系のPRが、たびたび大きな議論を呼んでいます。
特に近年は、ダイエット薬、美容医療、オンライン診療、健康食品、サプリ、スキンケアなどの発信がSNSで広がりやすくなりました。
その一方で、医療や薬に関わる情報は、通常の商品レビューとは大きく性質が異なります。
「痩せた」「治った」「効いた」といった体験談は、見る人に強い印象を与えます。影響力のあるインフルエンサーが発信すれば、投稿を見た人が「自分も試したい」と考える可能性もあります。
だからこそ、医療PRでは表現の正確さ、広告であることの分かりやすさ、リスク説明の有無が厳しく見られます。
この記事では、インフルエンサー医療PRがなぜ炎上しやすいのか、確認できる過去事例とともに、薬機法やステマ規制の注意点を整理します。

結論:医療PR炎上は「影響力」と「安全性」がぶつかる
インフルエンサー医療PRが炎上しやすい最大の理由は、影響力の大きさと医療情報の慎重さがぶつかるからです。
SNSでは、投稿者の体験談がとてもリアルに見えます。
「この人が使っているなら安心」
「この人が痩せたなら自分にも効果がありそう」
「有名な人が紹介しているなら問題なさそう」
こうした受け止め方をする人も少なくありません。
しかし、医薬品や医療行為は、体質、病歴、服薬状況、医師の判断によって結果が変わります。ある人に合ったものが、別の人にも同じように合うとは限りません。
そのため、個人の体験を「誰にでも当てはまる効果」のように見せてしまうと、強い批判につながります。
医療PR炎上は、単なる言い間違いや表現ミスだけで起きるものではありません。
発信者の影響力、広告主のチェック体制、医療情報としての正確性、視聴者が受け取る印象が重なったとき、一気に大きな問題として広がります。
インフルエンサー医療PRとは?
インフルエンサー医療PRとは、SNSや動画配信などで影響力を持つ人物が、医療・美容・健康に関わる商品やサービスを紹介する発信を指します。
たとえば、次のようなものが該当します。
・美容クリニックの施術体験
・オンライン診療サービスの紹介
・医療脱毛や美容皮膚科のPR
・ダイエット薬やGLP-1系薬に関する発信
・サプリや健康食品の体験談
・薄毛治療や肌治療の紹介
・睡眠改善やメンタルケアをうたうサービスの投稿
もちろん、すべての医療PRが問題になるわけではありません。
問題になりやすいのは、医療的な効果を強く見せすぎたり、リスクや個人差を十分に伝えなかったり、広告であることが分かりにくかったりするケースです。
特に美容やダイエット分野は、見た目の変化が分かりやすく、SNSで拡散されやすいジャンルです。
そのぶん、発信内容が不正確だった場合の影響も大きくなります。
なぜ医療PRは炎上しやすいのか
医療PRが炎上しやすい背景には、いくつかの共通点があります。
効果を断定しているように見える
「絶対に痩せる」
「これで治った」
「誰でも効果がある」
「飲むだけで変わる」
「これを使えば解決する」
こうした表現は、医療・美容・健康分野では特に注意が必要です。
本人が体験談のつもりで話していても、見る側には「効果が保証されている」と受け取られることがあります。
医療や薬に関する情報では、個人差やリスクを抜きにして効果だけを強調すると、批判されやすくなります。
個人の体験談が万能に見える
SNSでは、体験談が強い説得力を持ちます。
「実際に使ってみた」
「私はこれで変わった」
「ビフォーアフターを見てほしい」
こうした言葉や画像は、広告よりも自然で、信頼できるように見えることがあります。
しかし、医療や美容医療では、体験談だけで判断するのは危険です。
同じ施術や薬であっても、結果は人によって異なります。体質や生活習慣、既往歴、医師の判断によっても変わります。
体験談があまりに強く見えると、「この人と同じようになれる」と誤解される可能性があります。
リスク説明が弱い
医薬品や医療行為には、効果だけでなく副作用やリスクがあります。
美容医療であれば、ダウンタイム、腫れ、痛み、合併症、再施術の可能性などがあります。
薬であれば、副作用、禁忌、使用条件、医師の判断の必要性があります。
しかし、SNSのPR投稿では、短い動画や画像で印象的に見せることが重視されがちです。
その結果、良い面だけが強調され、リスク説明が薄く見えることがあります。
このバランスの悪さが、炎上の火種になります。
広告かどうか分かりにくい
医療PRでは、「広告なのか」「本人の自然な感想なのか」が分かりにくいことも問題になります。
PR表記がなかったり、投稿の最後に小さく入っていたり、大量のハッシュタグの中に埋もれていたりすると、見る側は本音の口コミだと思ってしまいます。
後から企業案件だったと分かると、「だまされた」と感じる人が出ます。
医療や美容の投稿は、身体や健康に関わるため、広告表記の分かりにくさが通常の商品PR以上に強い不信感につながります。
確認できる過去事例1:ゆいぴすさんのマンジャロ騒動
近年の医療PR炎上として大きく注目されたのが、人気キャバ嬢でインフルエンサーとしても知られるゆいぴすさんをめぐるマンジャロ騒動です。
報道によると、ゆいぴすさんは糖尿病治療薬「マンジャロ」をダイエット目的で使用し、効果があると発信したことについて、薬機法上の問題を指摘されました。
その後、本人は謝罪し、関連アンバサダーの辞退やインフルエンサー活動休止を発表したと報じられています。
ここで注意したいのは、「薬機法違反が確定した」と断定することはできない点です。
報道で確認できるのは、薬機法違反にあたるとの指摘があり、本人が謝罪したという流れです。
そのため、記事やSNSで扱う場合は、「薬機法違反にあたると指摘された」「問題視された」「謝罪したと報じられている」といった表現が適切です。
マンジャロとは何か
マンジャロは、日本国内では2型糖尿病の効能又は効果で承認されている医薬品です。
日本イーライリリーの医療関係者向け情報では、マンジャロの効能又は効果は「2型糖尿病」とされています。
また、食事療法や運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り、適用を考慮するものと説明されています。
つまり、SNSで気軽に「ダイエットに使える薬」のように見せることには慎重さが求められます。
マンジャロそのものを否定する話ではありません。
問題になったのは、医師の判断が必要な医療用医薬品を、インフルエンサーが美容やダイエットの文脈で発信したように受け取られた点です。
ゆいぴすさんの騒動が広がった理由
ゆいぴすさんの騒動が大きく広がった理由は、主に3つあります。
1つ目は、ダイエットというテーマの注目度です。
体重管理や美容に関する情報は、SNSで非常に拡散されやすい分野です。特に若い世代に影響力を持つ人物が発信すると、多くの人の関心を集めます。
2つ目は、医療用医薬品を扱っていた点です。
一般的な美容グッズやサプリとは異なり、医療用医薬品は医師の判断や正確な情報が必要です。そのため、発信内容に対して厳しい目が向けられました。
3つ目は、PRやアンバサダー活動との関係です。
インフルエンサーが医療関連サービスと関わる場合、視聴者は「宣伝なのか」「本人の感想なのか」「どこまで医学的に確認されているのか」を気にします。
この境界が曖昧に見えると、批判が一気に広がります。
確認できる過去事例2:海外GLP-1インフルエンサー炎上
海外でも、GLP-1系の体重管理薬をめぐるインフルエンサー炎上が起きています。
健康・ウェルネス系インフルエンサーのJanelle Rohnerさんは、GLP-1薬の使用を明かしたことで批判を受けたと報じられました。
批判の焦点は、薬の使用そのものだけではありません。
本人がダイエットや運動、食事管理に関する発信を行い、有料コースを販売していた一方で、自身の減量にGLP-1薬の使用が関わっていたことを十分に明かしていなかったと受け止められた点です。
その後、購入者への返金対応に触れたとも報じられています。
この事例は、日本の薬機法違反の話ではありません。
ただし、インフルエンサーが健康や減量ノウハウを発信し、商品や講座を販売する場合、「その結果は何によるものなのか」という透明性が強く問われることを示しています。
海外事例から見える問題点
この海外事例で問題視されたのは、「努力で痩せたように見えていた結果に、薬の使用が関わっていたのではないか」という不信感です。
ダイエットや健康法を発信するインフルエンサーは、自分自身の体型や生活を説得材料にすることが多くあります。
視聴者は、その人の見た目や変化を見て「この方法なら自分も変われるかもしれない」と感じます。
そこに薬の使用が関わっていた場合、後から明かされると「最初から知りたかった」「商品や講座を買う前に説明してほしかった」と感じる人が出ます。
つまり、医療PR炎上は、法規制だけの問題ではありません。
ファンや視聴者との信頼関係が崩れることでも起きます。
炎上しやすい論点1:美容医療の体験談とビフォーアフター
美容医療の分野でも、インフルエンサーPRは炎上しやすい領域です。
二重整形、脂肪吸引、医療脱毛、肌治療、注入治療、美容皮膚科の施術などは、SNSで非常に拡散されやすいテーマです。
特に、ビフォーアフター画像や施術体験談は強い説得力を持ちます。
「この施術でここまで変わった」
「ダウンタイムが短かった」
「痛みが少なかった」
「自然にきれいになった」
こうした投稿は、見る側に強い印象を与えます。
しかし、美容医療は人によって結果が異なります。
同じ施術を受けても、骨格、肌質、体質、医師の判断、術後の経過によって仕上がりは変わります。
そのため、良い結果だけを強調した投稿は、「誰でも同じようになれる」と誤解される可能性があります。
美容医療PRで問題になりやすい表現
美容医療PRで問題になりやすいのは、次のような表現です。
・絶対に失敗しない
・誰でもきれいになれる
・痛みはまったくない
・リスクはない
・すぐに理想の顔になれる
・この先生なら間違いない
・芸能人も通っているから安心
こうした言葉は、見る人に過度な期待を与える可能性があります。
また、施術前後の画像も注意が必要です。
撮影角度、照明、メイク、加工、表情、経過期間によって印象は大きく変わります。
美容医療のPRでは、見た目の変化だけでなく、リスク、費用、個人差、ダウンタイム、医師の診断が必要であることを正しく伝えることが求められます。
炎上しやすい論点2:PR表記なしのステマ疑惑
医療PR炎上では、効果表現だけでなく「PRなのかどうか」も大きな問題になります。
消費者庁は、2023年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反になると説明しています。
ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すような表示のことです。
インフルエンサーが企業やクリニックから依頼を受けて投稿する場合、その投稿が広告であることを視聴者が分かるようにする必要があります。
ここで注意したいのは、規制対象が基本的に広告主側の事業者である点です。
インフルエンサー本人が直ちに規制対象になるとは限りません。
ただし、視聴者から見れば、広告表記が分かりにくい投稿は強い不信感につながります。
特に医療や美容の投稿では、「本当に本人が選んだのか」「お金をもらって紹介しているのか」「リスクも理解しているのか」といった疑問が出やすくなります。
ステマ疑惑が炎上しやすい理由
ステマ疑惑が炎上しやすいのは、視聴者が「口コミだと思って信じた」と感じるからです。
医療や美容の悩みは、個人的で深いものです。
肌、体型、体重、薄毛、睡眠、メンタル、コンプレックスなどに関わるため、投稿を見た人が強く影響を受けることがあります。
その投稿が後から広告だったと分かると、通常の商品PR以上に反発が起きやすくなります。
「本音の感想だと思っていた」
「宣伝なら最初から分かるようにしてほしかった」
「身体に関わることだから軽く扱わないでほしい」
こうした反応が広がることで、炎上につながります。
炎上しやすい論点3:健康食品やサプリの効果断定
健康食品やサプリも、医療PR炎上につながりやすいジャンルです。
一見すると、医薬品よりも身近で安全に見えるかもしれません。
しかし、SNSでの表現によっては、医薬品のような効果を思わせることがあります。
たとえば、次のような表現は注意が必要です。
・これで病気が治った
・飲むだけで痩せる
・肌荒れが改善する
・体質が変わる
・免疫力が上がる
・薬を使わなくても大丈夫
・これを飲めば医者いらず
こうした表現は、見る人に医療的な効果を期待させる可能性があります。
健康食品やサプリは、医薬品ではありません。
そのため、病気の治療や予防、身体機能の改善を強くうたうような見せ方は問題視されやすくなります。
サプリPRで炎上しやすい理由
サプリPRで炎上しやすい理由は、身近な商品に見えるぶん、視聴者が気軽に試しやすいからです。
薬よりもハードルが低く、ネットで購入しやすいものも多くあります。
しかし、健康状態に不安がある人が、インフルエンサーの投稿を見て自己判断してしまう可能性もあります。
本来は医療機関を受診すべき症状があるのに、サプリで様子を見ようとしてしまうケースも考えられます。
そのため、健康食品やサプリのPRでは、医療的な効果を断定しないことが重要です。
「個人の感想です」と書いていても、投稿全体の見せ方によっては、効果を保証しているように受け取られることがあります。
炎上しやすい論点4:オンライン診療とダイエット広告
オンライン診療サービスも、医療PR炎上につながりやすい分野です。
スマホで診療を受けられる便利さは、多くの人にとって魅力的です。
一方で、医療用医薬品と結びついた広告では、見せ方が問題になることがあります。
特にダイエット、薄毛治療、美容内服、睡眠、メンタルケアなどは、SNSで関心を集めやすいテーマです。
インフルエンサーがオンライン診療サービスを紹介する場合、視聴者は「簡単に薬がもらえる」「自分も同じ薬を使える」と受け取る可能性があります。
しかし、医薬品の使用には医師の判断が必要です。
症状や体質、持病、他の薬との飲み合わせによって、適切な判断は変わります。
そのため、オンライン診療のPRでは、便利さだけを強調しすぎると批判が集まりやすくなります。
ダイエット系PRは特に燃えやすい
ダイエット系PRは、医療PRの中でも特に炎上しやすいジャンルです。
理由は、関心を持つ人が多く、悩みが深く、見た目の変化が分かりやすいからです。
「痩せたい」という気持ちは、多くの人にとって切実です。
そこに有名インフルエンサーの成功体験が重なると、投稿の影響力は大きくなります。
しかし、体重管理は健康状態と密接に関わります。
極端な表現や、医薬品を手軽な美容アイテムのように見せる表現は、批判を受けやすくなります。
ゆいぴすさんのマンジャロ騒動も、まさにこの問題が注目された事例といえます。
薬機法とは?医療PRでなぜ重要なのか
薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質、有効性、安全性を確保するための法律です。
医療PRで特に関係しやすいのが、広告表現に関する規制です。
厚生労働省は、医薬品などの広告が適正を欠いた場合、国民の保健衛生上大きな影響を与えるおそれがあるとして、広告規制の必要性を説明しています。
薬機法では、医薬品などの名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示的であるか暗示的であるかを問わず、虚偽または誇大な内容を広告・記述・流布してはならないとされています。
つまり、はっきり「治る」と言わなくても、投稿全体で「治るように見える」「効くように見える」場合には問題視される可能性があります。
インフルエンサーも無関係ではない
薬機法や広告規制は、企業や広告主だけが気にすればよいものではありません。
インフルエンサーが発信した投稿であっても、それが広告やPRとして機能している場合、視聴者に与える影響は大きくなります。
特に、次のような投稿は注意が必要です。
・医薬品の効果を強く語る
・美容医療の結果を保証するように見せる
・サプリで体質が変わるように表現する
・医師の判断が必要なものを気軽に勧める
・リスクや個人差に触れずに成功体験だけを見せる
インフルエンサー側に悪意がなかったとしても、投稿の見え方によっては大きな炎上につながります。
医療PR炎上でよくある誤解
医療PR炎上では、見る側にも発信する側にも誤解が生まれやすいポイントがあります。
炎上したから違法確定とは限らない
SNSで「薬機法違反ではないか」「医療広告として問題ではないか」と指摘されても、それだけで法的な違反が確定するわけではありません。
行政処分や司法判断が出ていない段階では、断定は避ける必要があります。
記事やSNSで扱う場合は、次のような表現が安全です。
・薬機法上の問題を指摘された
・不適切ではないかとの声が広がった
・医療PRとして慎重さを欠くと受け止められた
・本人が謝罪したと報じられている
・広告表現をめぐって批判が集まった
逆に、次のような表現は避けるべきです。
・違法PRだった
・薬機法違反が確定した
・詐欺だった
・悪質だった
・医療被害を出した
確認できていないことを断定すると、発信者側もリスクを負うことになります。
医薬品や医療行為そのものを否定する話ではない
医療PR炎上では、薬や医療行為そのものが悪いと誤解されることがあります。
しかし、多くの場合、問題は医薬品や医療行為そのものではありません。
問題になるのは、発信の仕方です。
医師の判断のもとで適切に使われる医薬品と、SNSで美容ノウハウのように紹介される医薬品は、まったく意味が違います。
美容医療も同じです。
適切な説明と診療のもとで行われる施術と、SNSで良い結果だけを切り取って見せる投稿は分けて考える必要があります。
医療PR炎上で共通するパターン
ここまでの事例や論点を整理すると、医療PR炎上には共通するパターンがあります。
成功体験だけが前面に出る
「痩せた」「きれいになった」「肌が変わった」など、成功体験だけが強く見える投稿は注目を集めます。
しかし、リスクや個人差が見えにくいと、批判の対象になります。
医療用のものを美容感覚で扱う
医療用医薬品や医療行為を、一般的な美容アイテムのように紹介すると炎上しやすくなります。
「手軽」「簡単」「誰でもできる」といった印象を与える表現は注意が必要です。
広告表記が分かりにくい
PRであることが分かりにくい投稿は、信頼を失いやすくなります。
医療や美容の分野では、広告表記の分かりやすさが特に重要です。
発信者の影響力が大きい
フォロワー数が多い人、若い世代に人気がある人、憧れの対象になっている人ほど、発信の影響は大きくなります。
そのぶん、医療情報に関する投稿では高い慎重さが求められます。
企業側のチェック体制が見えない
インフルエンサーだけでなく、依頼した企業やサービス運営側にも視線が向きます。
「誰が確認したのか」
「医療監修はあったのか」
「広告表現のチェックは十分だったのか」
こうした疑問が出ると、炎上は個人だけでなくサービス全体に広がります。
SNSではどんな声が出やすいのか
医療PR炎上では、SNS上でさまざまな反応が出ます。
批判として多いのは、次のような声です。
・影響力がある人ほど慎重に発信してほしい
・美容案件と医療用医薬品は別物
・PRなら最初から分かるように書くべき
・体験談だけ見て真似する人が出るのが怖い
・良い面だけでなくリスクも伝えるべき
・本人だけでなく依頼した企業側にも責任がある
一方で、インフルエンサー側に同情的な声が出ることもあります。
・本人だけを責めるのは違う
・広告主や代理店のチェックも必要
・謝罪後の対応を見たい
・医療PRのルールが分かりにくい
医療PR炎上は、投稿者ひとりの問題として終わらないことが多いです。
企業、代理店、クリニック、サービス運営、プラットフォーム、そして視聴者の受け止め方まで含めて議論が広がります。
今後も炎上が起きやすいジャンル
今後も医療PR炎上が起きやすいと考えられるジャンルがあります。
GLP-1系薬やダイエット薬
ダイエット薬やGLP-1系薬は、関心が非常に高い分野です。
体重変化が見た目に現れやすく、SNSで話題になりやすいため、今後も発信内容が厳しく見られる可能性があります。
美容クリニックの施術PR
美容医療は、ビフォーアフター画像や体験談が強い影響力を持ちます。
施術結果の個人差やリスクを十分に伝えない投稿は、炎上につながりやすいです。
オンライン診療サービス
便利さを強調しすぎると、「簡単に薬がもらえる」と受け取られる可能性があります。
医師の判断が必要であることを丁寧に伝える必要があります。
健康食品やサプリ
サプリや健康食品は身近な商品である一方、医療的な効果を思わせる表現には注意が必要です。
「治る」「痩せる」「体質改善」などの断定的な表現は、批判を招きやすくなります。
薄毛治療や美容内服
薄毛や美容内服は、悩みが深く、検索されやすいテーマです。
個人差や副作用、医師の判断が必要であることを軽く扱うと、炎上しやすくなります。
メンタルヘルスや睡眠改善
メンタルヘルスや睡眠に関する発信も慎重さが求められます。
悩みを抱える人が多い分、安易な効果表現や商品誘導は強い批判を受ける可能性があります。
インフルエンサー側に求められること
医療PRを行うインフルエンサーには、通常の商品PR以上の慎重さが求められます。
まず、広告である場合は、視聴者が分かるように明確に示すことが重要です。
次に、効果を断定しないことです。
自分の体験を語る場合でも、「誰にでも同じ効果がある」と受け取られないように注意する必要があります。
また、医師の判断が必要なものについては、自己判断を促すような表現を避けるべきです。
「自分も使ってみたい人は試してみて」といった軽い誘導は、医療分野では危険に見えることがあります。
さらに、リスクや個人差についても触れる必要があります。
良い結果だけを見せるのではなく、体質や症状によって異なること、専門家に相談すべきことを伝える姿勢が大切です。
企業やクリニック側に求められること
医療PR炎上は、インフルエンサーだけの責任ではありません。
企業やクリニック、広告代理店、サービス運営側にも大きな責任があります。
インフルエンサーに依頼する場合、投稿内容のチェック体制が必要です。
薬機法、医療広告規制、景品表示法、ステマ規制などを踏まえて、表現に問題がないか確認しなければなりません。
また、インフルエンサー任せにしないことも重要です。
「本人の言葉で自然に紹介してほしい」という依頼は、広告としては効果的に見えるかもしれません。
しかし、医療分野では、その自然さが逆に危うさにつながることがあります。
広告であること、医師の判断が必要であること、リスクや個人差があることを明確にする必要があります。
読者が医療PRを見るときの注意点
医療PRを見る側も、いくつかの点に注意する必要があります。
インフルエンサーの体験談は、あくまでその人のケースです。
同じ薬、同じ施術、同じサービスを利用しても、自分に同じ結果が出るとは限りません。
また、PR投稿の場合、見せ方が広告として作られている可能性があります。
きれいな写真、短い動画、印象的な言葉だけで判断しないことが大切です。
医薬品や医療行為に関わるものは、自己判断せず、医師や専門家に相談する必要があります。
特に、持病がある人、薬を服用している人、妊娠中や授乳中の人、体調に不安がある人は、SNSの情報だけで判断しないようにしましょう。
まとめ
インフルエンサー医療PR炎上は、単なる宣伝ミスではありません。
医薬品、美容医療、健康食品、オンライン診療などは、人の身体や健康に関わる情報です。
ゆいぴすさんのマンジャロ騒動では、医療用医薬品をダイエット文脈で発信したことが問題視されました。
海外でも、GLP-1薬の使用をめぐって、健康・ウェルネス系インフルエンサーが批判を受けた事例があります。
さらに、美容医療の体験談やビフォーアフター、PR表記の不足、健康食品やサプリの効果断定など、医療PRには炎上しやすい論点が多くあります。
重要なのは、医薬品や医療行為そのものを否定することではありません。
問題は、正確な情報やリスク説明が不十分なまま、SNSで手軽な美容ノウハウのように広がってしまうことです。
影響力のある人が医療や美容に関する情報を発信する時代だからこそ、広告であること、個人差があること、医師の判断が必要なことを丁寧に伝える姿勢が求められます。
参考情報
・厚生労働省「医薬品等の広告規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
・消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/
・消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/034365/
・日本イーライリリー「マンジャロ(チルゼパチド)の効能又は効果と効能又は効果に関連する注意は?」
https://medical.lilly.com/jp/answers/171121
・日本イーライリリー「マンジャロ 製品情報」
https://medical.lilly.com/jp/mounjaro
・日本イーライリリー「ゼップバウンドの代わりにマンジャロを使用してもよいか?」
https://medical.lilly.com/jp/answers/242068
・coki「ゆいぴすマンジャロ騒動で謝罪、活動休止 炎上の理由と医療系PRの問題をわかりやすく解説」
https://coki.jp/article/column/83277/
・People「Health and Wellness Influencer Sparks Backlash After Revealing She Used Weight Loss Medication」
https://people.com/health-and-wellness-influencer-sparks-backlash-for-using-weight-loss-medication-11722799
・The Cut「Wellness Influencer Janelle Rohner Says She Took GLP-1s」
https://www.thecut.com/article/influencer-janelle-rohner-responds-backlash-glp1s.html


















