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北海道に迫る“危険外来植物” ジャイアントホグウィード徹底解説 ― 被害・発見情報・防除策まで

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1.北海道・札幌で高まる緊張感

2025 年 6 月下旬、SNS で「北海道大学構内にジャイアントホグウィードが群生している」という投稿が拡散し、市民の間で大きな波紋が広がりました。

問題の植物は 3-5 m に達する巨大さと強烈な光毒性で知られ、欧米では失明や重度熱傷に似た皮膚炎の事例が相次いできた“要注意外来種”です。

現地写真を調査した専門家の速報では、北大「新渡戸通り」付近で少なくとも 10 株以上が確認され、札幌市と大学側が緊急安全措置と詳細調査を開始しました。

2. ジャイアントホグウィードってどんな植物?

  • 学名 Heracleum mantegazzianum
  • 原産地 コーカサス地方(現在のジョージア周辺)
  • 形態 傘形花序が直径 50 cm~1 m と巨大で、複葉は 1 m を超えます。中空の茎は直径 10 cm 近く、紫褐色の斑点と白い剛毛に覆われるのが特徴です。
  • 繁殖力 1 株で年間 2 万個以上の種子を生産し、河川水流や土砂とともに遠距離散布されます。種子は土中で 5 年以上休眠できるため、駆除を怠れば群落が急拡大します。

本来は観賞用として 19 世紀に欧州庭園へ導入されましたが、その後逃げ出して各国の在来植生を圧迫する「侵略的外来種」となりました。


3. 強烈な光毒性 ― 皮膚炎のメカニズムと実例

  • 茎・葉・根に含まれるフラノクマリン類は、皮膚に付着後に紫外線(UV-A)を浴びると DNA を傷つけて細胞死を招きます。
  • 24-48 時間後に疼痛・紅斑→径数 cm の水疱→黒色瘢痕へと進行
  • 露光部が広い腕や顔では 3 度熱傷に匹敵する損傷を起こすことも
  • 眼に入ると角膜混濁から不可逆的な視力低下を生じる危険性

イギリスでは毎夏 500 件超の医療通報があるほか、米ニューヨーク州では除草作業員が顔面全体に水疱・瘢痕を負ったケースが報告されています。

もし樹液が付着したら

  1. 石けん+流水で 15 分以上洗浄

  2. 48 時間は完全遮光(ガーゼ+袖付き衣服)

  3. 水疱や発熱があれば直ちに皮膚科を受診(早期ステロイド外用が奏功)


4. 札幌・北大での発見経緯と行政対応

  1. 2025/6/23 夕方 — 学生が異様に大きいセリ科植物を撮影し X(旧 Twitter)へ投稿
  2. 24 日午前 — ボタニカルアカウントが「ジャイアントホグウィード疑い」と指摘し拡散
  3. 同日午後 — 北大植物園研究員が現地を視察、種同定のためサンプル採取
  4. 25 日 — 札幌市環境局が立ち入り禁止テープを設置し、通行者へ注意喚起
  5. 26 日以降 — 北海道庁が全道的な聞き取りと追加調査を表明、環境省と情報共有

北海道で正式に確認されれば国内初記録であり、行政は早期防除と市民協力を重視しています。


5. なぜ北海道は“好適地”なのか

ジャイアントホグウィードは耐寒性が高く、平均気温 10 °C 前後の冷涼湿潤気候(Cfb 型)を最も好みます。

札幌市の降水 1 300 mm/年、夏季平均 22 °C 程度の条件は、英国北部やノルウェー沿岸とほぼ同等で生育に理想的。

また、

  • 河川網が発達 → 種子が流水で長距離移動しやすい
  • スキー場・放棄農地が点在 → 攪乱地に定着し在来草本を駆逐
  • 観光地の人流 → 服や車両に付着した種子の意図せぬ運搬

これらの要因が重なり、放置すれば全道へ急速拡散するリスクがあります。


6. 法規制と防除の最新動向

日本ではまだ外来生物法の個別指定は行われていませんが、環境省の「侵略的外来種リスト」植物部門で“要注意種”として明記され、自治体が条例等で駆除を命令できる根拠となります。

札幌市は独自に「外来植物通報フォーム」を運用し、写真付きで市民が送信できる仕組みを公開。

英国のように除去義務違反に罰金を科す制度は未整備なものの、北海道庁は「流域単位の一斉防除」を視野に、国交省・河川管理者との連携を進めています。


7. 見分け方 ― 在来のオオハナウド等との違い

特徴 ジャイアントホグウィード オオハナウド / エゾニュウ (在来)
草丈 3-5 m(最大 6 m) 1.5-2.5 m
茎の色 緑に紫褐色の濃斑点+白毛 全体緑~淡紫、斑点少
3 裂が深く、幅 1 m 超 裂片が浅い
花序径 50-100 cm 20-30 cm
匂い 折るとセロリ臭+刺激臭 弱いセリ臭
決め手は茎の紫斑とサイズ感

8. 市民が取るべき安全行動

  1. 近寄らない・触らない ― 見つけたら 2 m 以上距離を確保。

  2. 個人防護具を着用 ― 長袖厚手衣服、ゴム手袋、保護メガネ。刈り取りは専門業者へ。

  3. 位置と写真を記録 ― スマホ GPS 表示+全体像と茎拡大を撮影。

  4. 速やかに通報

    • 札幌市環境局 生物多様性担当:☎ 011-211-2876

    • 北海道庁 自然環境局:☎ 011-231-4111

  5. 樹液付着時の応急処置(前掲の手順参照)。

  6. ガーデナー向け注意 ― 海外通販で種子を購入しない、見知らぬ苗の交換を控える。

これらは英国・北米で確立された市民ガイドラインを参考に作成されています。


9. まとめ ― “早期発見・早期駆除”こそ最大の防御

ジャイアントホグウィードは、その巨大で美しい姿に反して、人と生態系の双方へ深刻なダメージを与える外来植物です。

北海道は気候的に定着・拡散の条件がそろい、対応を誤れば広大な河川敷や観光地が危険地帯に変わりかねません。

  • 市民の目が最強のセンサー — 写真付き通報が初動を加速

  • 行政・研究機関の連携 — 流域単位の一斉駆除と長期モニタリング

  • 教育と普及啓発 — 学校や観光業者へリーフレット配布、SNS で正しい情報共有

私たち一人ひとりが “見逃さない”“広めない” を徹底し、北の大地を未来へ引き継ぎましょう。

この記事が、危険植物から身を守り、北海道の豊かな自然を守る一助となれば幸いです。