【5月の行事】菖蒲打ちの伝統を知ろう!日本の伝統を再発見
5月5日の端午の節句には、「菖蒲湯」に入る風習が広く知られていますが、「菖蒲打ち」という行事があることをご存じでしょうか?
これは、古くから伝わる厄払いの儀式のひとつで、家の周囲や体を菖蒲で叩くことで邪気を祓うとされています。
現在ではあまり見かけなくなったものの、一部の地域では伝統が受け継がれており、貴重な文化として残されています。
今回は、この「菖蒲打ち」の起源や意味、楽しみ方について詳しく解説していきます。
【1. 菖蒲打ちの歴史】日本に伝わる邪気払いの儀式
◇ 菖蒲打ちの起源
菖蒲打ちは、古代中国の風習が日本に伝わり、独自に発展したものと考えられています。中国では旧暦5月5日に「端午節」という行事があり、邪気を払うために菖蒲やヨモギを用いる風習がありました。これが日本に伝わり、武士の時代を経て、厄除けの意味を持つ「菖蒲打ち」として定着していったとされています。
◇ 武士社会との関わり
鎌倉時代から江戸時代にかけて、武士の間では「菖蒲(しょうぶ)」の音が「尚武(しょうぶ)=武を尊ぶ」と通じることから、端午の節句は「武家の祝日」としても扱われていました。
この頃には、菖蒲の葉を束ねて互いに打ち合うことで、精神鍛錬や邪気払いの儀式として楽しまれるようになりました。
◇ 現代における菖蒲打ち
現在では、菖蒲湯は広く残っているものの、菖蒲打ちの風習はあまり一般的ではなくなりました。しかし、地域によっては神社の祭りや伝統行事の一環として行われており、歴史を学びながら体験できる貴重な機会となっています。
【2. 菖蒲打ちの意味】なぜ5月に行われるのか?
菖蒲打ちが5月に行われる理由には、次のような意味が込められています。
① 邪気払い・健康祈願
端午の節句は、古くは「邪気を払う日」とされていました。特に5月は、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもありました。菖蒲の持つ強い香りが魔除けの役割を果たし、病気や災いを遠ざけると信じられていました。
② 豊作祈願
農村地域では、菖蒲打ちが豊作を願う儀式の一環として行われることもありました。田畑の周囲を菖蒲で叩きながら「豊作でありますように」と祈る習慣もあったようです。
③ 男児の成長祈願
武士の時代には、男の子が健やかに成長し、強くたくましく育つことを願って菖蒲打ちを行っていました。
これは、菖蒲が「尚武(武を尊ぶ)」と音が同じであることから、武士の家において特に重視されていた風習です。
【3. 菖蒲打ちのやり方】家庭でできる簡単な方法
現在では地域によって菖蒲打ちの方法に違いがありますが、家庭でも簡単に楽しむことができます。
【準備するもの】
- 生の菖蒲の葉(3〜5本)
- 端午の節句に飾る菖蒲飾り(あれば)
【実践方法】
- 菖蒲の葉を束ねる
3〜5本の菖蒲をまとめて、持ちやすい長さにします。 - 邪気払いのために体を軽く叩く
腕や足を優しく叩きながら「無病息災」や「健康祈願」を心の中で唱えます。 - 玄関や家の周囲を叩く
家の入口や窓際など、邪気が入りやすいとされる場所を菖蒲で叩き、悪い気を払います。 - 終わったら菖蒲湯に入る
菖蒲打ちを行った後は、菖蒲湯に入ることで、さらに邪気を払う効果が高まると言われています。
【4. 菖蒲打ちが行われる地域】伝統が残る場所5選
現在でも菖蒲打ちの風習が残る地域をいくつか紹介します。
- 奈良県春日大社
5月の「端午の節句祭」で、菖蒲を使った厄除けの儀式が行われることがあります。 - 京都府上賀茂神社
菖蒲を用いた神事が行われ、厄除けを願う伝統が続いています。 - 東京都浅草寺
菖蒲湯とともに、菖蒲を使った厄除け行事が紹介されることがあります。 - 熊本県阿蘇地方
農村地域では、田畑に菖蒲を飾る風習が一部残っています。 - 長野県諏訪大社
豊作祈願として菖蒲を使用する祭りが伝統として受け継がれています。
地域によって、さまざまな形で菖蒲が用いられているため、興味がある方は実際に足を運んでみるのもおすすめです。
【まとめ】菖蒲打ちで厄払いと健康祈願を
菖蒲打ちは、日本の伝統的な厄除けの行事であり、端午の節句と深い関わりがあります。
現代ではあまり見られなくなったものの、健康祈願や邪気払いの意味を持つため、家庭でも簡単に取り入れることができます。
今年の5月5日は、菖蒲湯だけでなく、菖蒲打ちにも挑戦して、伝統文化を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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