【7月の行事】伝統行事・盂蘭盆とは?由来と日本での広まり方を解説
はじめに|7月に訪れる盂蘭盆とは何か?
7月になると、各地で「盂蘭盆(うらぼん)」という言葉を耳にすることがあります。
多くの方にとっては「お盆休み」や「お墓参り」といったイメージが先行するかもしれませんが、盂蘭盆は仏教に由来する深い意味を持つ行事です。
この記事では、盂蘭盆の本来の意味や由来、そして日本全国にどのように広まっていったのかをやさしく丁寧に解説していきます。
盂蘭盆とは?|仏教に根ざした供養の文化
盂蘭盆の意味と仏教とのつながり
盂蘭盆は、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれ、仏教における先祖供養の行事のひとつです。
サンスクリット語の「ウランバナ(逆さ吊り)」が語源とされ、「苦しみにあえぐ霊を救う」という意味が込められています。
仏教の教えでは、亡くなった人々の魂が苦しみの世界に迷い込むことがあるとされ、その魂を救済するために生きている家族が供養の儀式を行うのが盂蘭盆の本質です。
これにより、私たちは先祖への感謝を形にし、今を生きる自分たちの在り方を見つめ直す機会にもなります。
盂蘭盆の起源と目連尊者の伝説
盂蘭盆の由来は、仏教経典『盂蘭盆経』に登場するエピソードにあります。
釈迦の弟子である目連尊者(もくれんそんじゃ)は、神通力で亡き母の魂が餓鬼道に堕ちて苦しんでいるのを知り、釈迦に救いを求めました。
釈迦は、僧たちが一堂に集まる7月15日に多くの僧に飲食物を供え、布施するように助言しました。
それに従った目連尊者は母を救うことができたとされています。この故事が、後の盂蘭盆会の起源となり、現在の「お盆」に繋がっていきました。
日本での盂蘭盆の伝来と変遷
中国から日本へ|仏教伝来とともに渡来
盂蘭盆は仏教の伝来とともに日本にもたらされました。日本に仏教が正式に伝わったのは6世紀、飛鳥時代のこと。
盂蘭盆会は奈良時代にはすでに国家行事として取り入れられ、貴族や僧侶を中心に広まりました。
その後、平安時代には宮中での年中行事のひとつとして定着し、盆棚や灯籠流しなどの儀式も行われるようになりました。
鎌倉時代以降になると、浄土宗や浄土真宗など庶民の間にも仏教が浸透し、盂蘭盆の風習が一般家庭に広がっていったのです。
地域ごとの盂蘭盆の特色ある風習
日本各地には、地域に根ざした独自の盂蘭盆の風習が今もなお受け継がれています。
例えば:
-
京都の「五山の送り火」:8月16日に行われる火祭りで、山に「大」「妙法」などの文字が灯され、先祖の霊を送ります。
-
沖縄の「エイサー踊り」:旧暦の7月15日前後に青年たちが太鼓を叩きながら踊り、祖先の霊を迎えます。
-
青森の「ねぶた祭り」:もとは精霊送りが起源とされ、灯篭を流す代わりに山車を引いて練り歩く形に発展しました。
このように、日本の各地域で盂蘭盆はその土地の風土や信仰と結びつきながら多彩な形で受け継がれています。
現代における盂蘭盆の過ごし方
家族で行う盂蘭盆の行事とは
現代の盂蘭盆では、次のような過ごし方が一般的です:
-
お墓参りをする
家族で祖先の墓を訪れ、掃除をしたり花を供えたりします。 -
仏壇に盆棚を設ける
お供え物を並べて、霊が帰ってくるための「道しるべ」を作ります。 -
迎え火・送り火を焚く
7月13日頃に「迎え火」、15日または16日に「送り火」を灯し、霊の往来を祈ります。
これらの行動を通して、現代人も自然と「祖先を敬う心」を育んでいるのです。
参加できる地域の盂蘭盆イベント紹介
最近では、地域のイベントとして盂蘭盆に参加する方も増えています。代表的なものをご紹介します。
地域 | イベント名 | 開催時期 | 特徴 |
---|---|---|---|
京都 | 五山の送り火 | 8月16日 | 送り火で霊を送る |
徳島 | 阿波踊り | 8月12日〜15日 | 踊りで霊を供養 |
沖縄 | エイサー | 旧盆(8月中旬) | 音と舞で先祖を迎える |
まとめ|盂蘭盆が今も大切にされる理由
盂蘭盆は、先祖の霊を敬い、感謝の気持ちを伝える行事です。
そのルーツは目連尊者の物語にあり、日本においては時代とともに多様な形で受け継がれてきました。
現代では、家族での団らんや地域イベントを通じて、盂蘭盆の精神が生き続けています。
忙しい毎日の中でも、一年に一度、心静かに祖先を偲ぶ機会として、ぜひ盂蘭盆の意義を見つめ直してみてください。
最近のコメント